photo by ソザイング
自分自身も悪い行動をしてしまったけれど悔しかったアルバイトの経験を、懺悔の意味も含めて投稿します。
その頃、私はフリーターとして色々なアルバイトを転々としていた。
自分で言うのも何だけど、当時は若くて元気で接客もそこそこ出来たので受付やテレオペやイベントスタッフなど仕事に困る事も無く、楽しくバイト生活をしていた。
ある期間限定のアルバイト先で、同じ仕事に就いていた女性から
「うちの父がステーキレストランを新規オープンする事になってウエイトレスを探しているんだけど、良かったらやってくれない?」と声を掛けられた。声を掛けてくれた当人は、結婚を控えていて忙しく店を手伝えないからとのこと。
勤務地は駅近で便利で、時給はまあまあ。
しかも親から「そういう店だと、まかないが美味しいだろうねえ」と言われ、すっかりその気になった。
お店は完全に家族経営で、私1人が部外者だった。
小さくて可愛らしく新しいお店にウキウキして働き出した。
しかし働き始めてみると、オーナーであるコックさん(バイトを持ちかけて来た女性のお父さん)の、あまりの料理下手さにぶったまげた。
注文の殆どがステーキなので、はっきり言って”焼くだけ”って感じで問題ないけれど、
ハンバーグの注文が入ると外は黒焦げ、中はナマ。
海老フライ(冷凍)は中が凍ったまま。
グラタンはグチャグチャ。
ある時、ご飯の水加減が悪かったのか、芯の固いご飯が大量に炊きあがってしまった。
オーナーはそのままそれをお客様に提供しろと言う。
クレームを受けるのはウエイトレスである私だ。
ところが客層が本当に良かった。どのお客様も「君のせいじゃない事は分かってるけど、ご飯が固過ぎてヘンだよ。コックさんに伝えておいてくれる?」と優しい口調のクレームをしてくるのみだった。
私は殆ど全てのテーブルのお客様から同じように言われ、1つ1つ謝罪をして回った。
すると厨房ではオーナーがカンカンになって怒っていた。
「なんだお前、コメツキバッタみたいにペコペコしやがって!
前に立って『今日のご飯は固くてスミマセン』と一言言えば一回で済むだろうがあ!」と怒鳴られた。
その後も、客が入らなければ「入り口で客を呼んで来い!」と怒鳴られ
生焼けハンバーグを出されたお客様がクレームもつけずお金をキチッと払って食事を全部残されたのに気付いた時には
「女のクセに何で客の様子がおかしいのに気付かないんだ!ハンバーグに不満が有りそうなら黙ってカレーでも出しときゃ良かったじゃねえか!」と怒鳴られた。
店で働いている皆さんは諦めモードで、誰もオーナーに意見しない。
おまけに美味しいまかないも出なかった。
午前中の開店準備から入って午後まで働いても、食べても良いとされるのは生野菜だけ。
毎日毎日,理不尽に怒鳴られて、ついに私は復讐をする事にした。
クリスマスが近かった事も有り、ウエイトレスの仕事もしながら予約の電話も受けていたので、クリスマスイブからクリスマスにかけて店は大混乱する程の大忙しになることは分かっていた。
その上で私は、クリスマスイブの日からアルバイトをブッチした。
前日までは、何の不満も顔に出さず、オーナーが怒鳴っても「スミマセン」と受け流していたが、突然のブッチだ。
店にはもう1人親戚の年配の女性がウエイトレスをしていたが、日頃殆ど私に任せきりだったので恐らく店は回らなかっただろうと思われる。
店から一度だけ電話が有ったが、電話に出なかったら、もう二度と掛かって来なかった。
もう20年も前の出来事だ。
「クリスマスにステーキを食べよう」と予約して楽しみにしていたお客様、本当に申し訳ありませんでした。
公開日:2014.12.18
せつない……。