僕は中学一年生。去年...小学六年生だった頃の話。

0

0

view

0

comment

photo by photo AC

みんなのゲスト投稿のユーザーアイコン画像
みんなのゲスト投稿

四月。担任の先生は、真面目そうな独身のオバサン。笑 嫌だった。
しかし!!予想は外れた…超面白い先生だったのだ!!!笑 授業はよく脱線する。先生の話はとにかく面白い。常に明るくて太陽のような先生だった。
最後の小学校生活はあっという間だった。
一月。卒業というものが迫ってきた。卒業式の代表挨拶オーディション。原稿も自分で考えて、一人ずつ審査する。毎年バトルが繰り広げられる。僕は必死に準備をして挑んだ。でも…ダメだった。努力が報われなかった…トイレの個室の中、泣いた。情けなかった。チャイムが授業の始まりを告げた。教室に戻ることはできなかった。とうとう先生がきてしまった。僕はドアを開けた。先生は起こるどころか、何も言わなかった。そして、ただ僕の背中を、ずっとさすってくれた。優しかった。また涙が溢れた。先生は親のように、優しかった。先生は、辛いね…頑張ったよ…偉かったよ…と言ってくれた。
でも僕は知っていた。本当に辛いのは先生だってこと。僕のクラスは先生を怒らせてばかりで、大変な問題児もいて、おまけに先生は学年主任。休み時間も休みなく動いていた。昼休み、僕は見てしまった。非常階段で、膝を抱えこんで座っている先生の姿を。顔は見えなかった。でも、辛そうだった。みんなの前では見せない。倒れそうなくらい体調が悪くても、学校にくる。足を痛めて完治2週間でも、それを笑って話して、平気で歩く。でも、見ていないところでは、足を引きずりながら、苦しそうに歩いているのだ。もちろん痛めたのは、学校で無理したから。体が弱い先生だった。 でも先生は、みんなの前では、いつも笑顔だ。
二月。卒業までのカウントダウンが始まった。そして歌の練習もスタート!先生は音楽担当でもないのに、熱心に指導する。ある日、先生は僕たちに言った。「先生ね、実は卒業式で泣いたことないの。君たちが、歌で先生を泣かせてね。」僕たちの学校は、合唱コンクールで毎年金賞をとるくらい歌には自信がある。「絶対、先生を泣かせます!鼻水まで出るくらい!笑」そう約束した。
三月三日から、僕たちがあのクラスで授業をすることは二度となかった。痛いほど耳にする言葉…コロナウイルス。ただ、悲しかった。
卒業式当日。あれほど練習してきた歌は歌えない。密を避けるため、教室には入れない。ただ唯一、式が始まる前に10分間だけ、教室での最後の時間が渡された。まさか、先生がこんな話をするなんて…思ってもいなかった。

「皆さんに話しておきたいことがあります。おととい、先生の母親が息を引き取りました。……こんな話…ごめんね… みんなには、いつもお母さんの話を聞いてくれて、先生、本当に嬉しかった。ありがとう。本当にありがとう。…急で…先生もまだ、信じられないけど…お母さんはいじわるだね………今日はお母さんのお葬式です。卒業式が終わったら、お葬式です。………よしっっ!!!心を入れ替えようっ!!今日は晴れ舞台!頑張ろうっ!!!」

式直前、僕たちは涙を流した。
式が終わった。短縮されていたから、40分もかからなかったと思う。外でお別れとなった。先生が、別れの言葉を言う……僕らは目配せした。「先生、ありがとう!!」そして、色紙を渡した。休校前に、先生の目に付かないように書いた一人一人の寄せ書き。僕らのメッセージ。本当は、折り紙で作った花束も渡すつもりだった。ちゃんとみんなで考えてメッセージをいうつもりだった。でも出来なくなってしまった。こんなしょぼいものだけど… 先生は最後に言った。「先生は、みんなの担任になれて幸せだった。みんなのおかげでとても楽しい一年間でした。ありがとう。こんな形になってしまったけれど…みんなでもっといろんなことをしたかったな…それだけが先生は心残りです。この色紙!?いつ準備したの!?…涙も…鼻水も出ました!笑 最後に、みんなに伝えたいことがあります。いいづらいかもしれないけど、お母さん、お父さんにありがとうと感謝の気持ちを伝えて下さい。必ず伝えて下さい。後悔しても…戻ることはできません。だから、今、言ってください。今日は先生にとって悲しかった日が、夢に向かって巣立って行く君たちをみていると、とても嬉しい日になりました。ありがとう。あと、君たちの成人式、必ず行くからね。ちゃんと先生を呼んでね!笑 それまでは元気でいるから。…じゃあ、みんな…
いってらっしゃい!!!」

「いってきます!!!」

先生、僕、先生のじまんの教え子になれるように、夢が叶えられるように、頑張ります。

今度先生に会うのは、成人式だろうか。でも会えるとは限らないし、何があるか分からない。小学生の頃の記憶なんて、その時には薄れているかもしれない。でも、僕らはこれだけは、一生忘れることはないだろう。
宇宙一の先生のことを!!

公開日:2020.05.05

コメントする

123

※話がよいと思ったら1~3枚の座布団をあげてください。評価は一話につき一回限りです。
 返信などコメントだけしたい場合は座布団0枚で投稿してください。評価に反映されません。

「みんなの話」カテゴリ一覧

近いタグ付けの話