2019年秋 まさに青天となった日の出来事です。

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30代前半でそこそこ大きな会社IT会社の役員になりそれなりの社会的地位を確立し傲慢や過信があった時期です。
日々、業務に忙殺されながら家族との時間がとれていなかった私は二人の娘を連れて近くの公園に「どんぐり拾い」に夕暮れ時に出掛けました。

娘は4歳と2歳で私と出掛けるのが相当嬉しかったのか公園までの道中凄くテンションがあがり楽しそうでした。
その風景を見て通りすがりのおばあちゃんが私に声をかけて下さった。

「楽しそうですねぇ~」
「可愛らしい娘さんとお出かけされているのを見て私も昔を想いだしましたよ~」

昔を回想されているかのようにお話しをされておられました。
暫し、談笑をして目的地の公園に再度向かおうと足を進めてた時に後ろから

先程のおばあちゃんが追いかけてきて
「良かったらこれを娘さんと食べて下さい」と2つの包装されているドーナツをお渡し頂き私もご厚意に甘え頂いた。

よく見ると、父が定年まで勤めあげていた会社のドーナツだった。

私の父は中学卒業後、そのドーナツを製造・販売している会社に入社し定年まで勤めていた。
仕事人間で家に帰ると仕事の話しを家族にし続けていた。

よく当時そのドーナツを手元において「美味しく食べてもらえよ!」と呟いているのを目にしていた。

学生だった私は到底自慢できるほどの商品ではないのにどうしてそこまでこのドーナツに想いいれができるのかが不思議であったし大手の食品メーカーに勤めている友人の父親との差に劣等感を感じていた。

退職後、仕事人間だった父親はやる趣味もなく今は認知症になってしまっている。
今でも、当時のドーナツへの話しは私にしてくる。

ただ、学生当時あれだけ父の仕事を馬鹿にし父のようにはなってはいけないと思い、頑張ってきた自分が浅はかだったのかを思いしらされた。

もらった、たった2つのドーナツは私や娘の気持ちを温かくしている事こそが全てであると思いしらされた。
2人の娘は何も思うことなく頂いたドーナツを2つ公園で食べていたが私はその風景を見て涙がとまらなかった。

そうだ!
この気持ちを大切にし父や会社のメンバーに話そうと思った出来事でした。

公開日:2019.11.05

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