photo by ソザイング
お正月を迎える大掃除をしていた時、しばらく見なかった中学校の卒業アルバムを見つけました。
ページを開くと懐かしい友人の顔と初恋の人が微笑んでいました。
思えば思春期のいろいろな事情のなか、不登校にならずに3年間通い続けることができたのは、彼女の笑顔を見るためだったような気がします。
他の誰よりも仲良く話をして、他の誰よりもお互い気を許せる仲でいましたが、
結局、「好きだ」のひとことが言えずに、お互い卒業してしまいました。
卒業後は音信不通となって、僕は大学進学のため上京し、いろんな恋を重ねながら結婚し、子供にも恵まれた家庭を築きました。
昔は個人情報にさほどうるさくなかったこともあり、アルバムには各人の住所が記載されていました。
若い時のプライドだと思います。
彼女の家には一度も行ったことがなく、一度もプライベートで、デートしたことはありませんでした。
なにげに、アルバムの住所を地図検索に入れてみると、画像に彼女の家が現れました。
ホントは彼女の誕生日に行ってプレゼントを渡したかったこと、卒業式のとき「好きだ」って言いたかったこと、
いろんな思い出が走馬灯のように、よみがえってきました。
あの日、自転車で行けば5分もかからなかった場所だったのが、今では車で13時間以上かかるんだ。
30年前の想いが、古い時代のアルバムと新しい時代のネットの中で蘇りました。
ただ、時代が移っても、ひとつだけ言えることは、そこには彼女の姿はなく、再び会うことはないのだろうなって
そんなことを改めて考えながら、地図とアルバムを閉じました。
もうひとつだけ気付いたこと…
まだ君以上、心から笑える女性とは会っていないことも。
公開日:2015.01.05
大切な気持ちってあせないね。