photo by イラストAC
今を去ること30年以上前、私の職場で先輩達が昼休みにケーキを買ってこようと計画。
ところが、職場は不便な場所。余り菓子店などもない。それで近くの駅の側のケーキ屋まで行こうとの話となった。
不便な場所なので、来客分も含めて駐車場はかなり広い。
さて、2人の先輩、自分達は車を持っていないので、子育て中で車出勤の先輩に「車を貸して」とねだっている。
首尾良く車のキーを貸してもらった先輩達。勇んで駐車場へ。先輩のT社のK型の車を探し当て、鍵を開けようとしたが、開かない。おかしいなあと後輩の大柄な女性に助けを求める。彼女はしばらくカタカタやっていたが、「開いたよ」エンジンも無事かかり、はい出発。
心配になって駐車場へ見に来た先輩の前を「大丈夫です、エンジンかかったよ」と満面の笑みを浮かべた後輩が声をかける。
その車をみた先輩、真っ青になって「違う、私の車じゃない」と必死に追いかける。
幸い、玄関先で何とか捕まえ、元の駐車場へ戻したもののしばらく声もない。
「何で車間違えたの?」
「だって同じT社のKだったから、それに後部座席に子供がいるような毛布やらお菓子が汚く散らばっていたから、片付いていない車はてっきり先輩の車だと思ったし、それに鍵、開いちゃったんだもん、」
「どうやって開いたんだ?」
後輩は小さくなって「開きにくかったけどカチャカチャしてたら開いちゃった、」
「でもよかった、もし持ち主が戻ってきたら車泥棒になっちゃうところだったんだから。」皆ケーキどころではなくなったし、しばらくは車の貸し借りもなくなったし、ただ違う車を開けてしまった170cm以上ある後輩にはゴールドフィンガーグリズリーと秘かに渾名が付けられたのであった。
公開日:2015.01.06
開くの?すごい
開いちゃったんですよ~。さすがにもうないと思いたいけど、要注意です。