全ての鍋奉行を超越した「スーパー鍋奉行」

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photo by (c)Tomo.Yun

世間では普通「鍋奉行」というと、ありがたい半面、うっとうしかったり、蘊蓄好きだったりというイメージを抱きがちですが、私のかつての職場の先輩Iさんは、全ての鍋奉行を超越した「スーパー鍋奉行」です。

冬の寒い夜、職場仲間と鍋でもつつくかということになり、Iさんも含めて行きつけのお店に繰り出しました。
さすがに季節柄か、周りのテーブルも鍋で盛り上がっています。

やがて、我々のところにもオーダーした鍋の具材がコンロと共に運ばれてきました。
それを見た途端「?」というリアクションを全員がしました。但し、Iさんを除いて。
そこに盛られていたのは肉、魚と共になぜか丸のままの白菜やねぎ、豆腐。周りのテーブルのそれは綺麗に切られているにも関わらず。

唖然としていると、Iさんが「今日はわしが作ったるから」と袖をまくり、いきなり白菜を手で豪快にちぎり始めました。
「心配せんでええ。手はさっき洗ったからなあ。」と言いながら、肉、魚と一緒にねぎも手ちぎり、豆腐も手で器用に崩して鍋の中へ。
仲居さんが見兼ねて手を出そうとしても、笑顔で「大丈夫、大丈夫」。
我々もどうなるのか内心ドキドキしながら、ビールを飲むしかありません。

やがて、Iさんの「もう、ええよ」の声で恐る恐る口に運ぶと、今まで食べたことのないようなおいしさが広がります。
あっという間に平らげました。

ほとんどつゆだけになった鍋にIさんは後から注文したひやごはんと生卵を溶き入れると、ほんの30秒ぐらいで「もう、ええよ」の声。
これも卵が絶妙のふわふわでごはんとしっかり絡み合った絶品で今まで食べたことのないおじやでした。
あまりのおいしさに一同手でちぎった鍋だということも忘れ、その日以降Iさんを「鍋の魔術師」と尊敬をこめて呼ぶようになりました。

公開日:2014.11.28

コメント一覧

  • みっちゃん
    1 stars

    私も御馳走になりたいよ

  • 放たれる
    3 stars

    焼却炉の魔術師と親戚かな?

  • ばちょん
    1 stars

    ちぎった方が味が染み込みますよね^_^

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