大学でサークルに入っていた時のこと

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photo by フリー素材屋Hoshino

或るサークルのOBの男性が、頻繁にサークル室を訪れるようになった。
その先輩は優しくて聞き上手で、皆、その先輩が大好きだった。
先輩は、サークルの合宿にもやって来た。合宿と言っても、みんなで遊びに行く感覚だったから先輩が来ても違和感は無い。
夜になると皆で家族や恋にまつわる悩みの話しをして、雰囲気がしんみりとなった。
すると先輩は1人1人に励ますような優しい言葉を掛けて行った。メンバーの中には感動して涙を流す子まで居た。
だが私1人、悩みの打ち明け話をしなかった。その先輩の事が信用出来ずにいたし気持ち悪いという感覚さえ有った。

ある時、いつも通りサークルに顔を出すと、場が騒然としていた。
何が有ったのか聞いてビックリ。
先輩がサークルの会費を持ったまま音信不通になったと言う。
先輩は皆の心を掴んで、いつの間にか会費の管理までしていたらしい。
先輩はサークル費だけでなく、先輩に心酔しきっていた子から借金もしていたらしい。
最初からお金が目的だったのだろう。
「やっぱり変な人だった」と口には出さなかったが、そういう気持ちだった。

それきり先輩とは連絡が取れていない。
先輩は一人暮らしと聞いていただけで住所までは知らないし、実家も把握出来なかった。
それに皆、先輩を信頼し過ぎていたショックから、とことん追及して取り返そうとする動きも無かった。
サークルではそれ以来、先輩の話題は禁句になった。

公開日:2014.12.22

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