photo by フリー素材屋Hoshino
もう半世紀も前の話です。
外貨獲得の国策に沿ってインドに出張しました。
カルカッタについた日のこと。
買い物に出た市中で一人の乞食に出会いました。乞食はたくさんおり決して珍しいことではありません。少額の施しをしたのですがその老人は礼を言いません。
物をもらって礼を言わないのはなぜかと尋ねると、
「この施しは神のなしたものであなたのなしたものではありません。ですから私は神に感謝しこそすれあなたに礼を言う必要はないのです」と。
極貧の身なりの何ともみすぼらしい老人の、その見事な英語と論理に圧倒され、この国の持つ精神文化の高さに驚きました。それ以降の仕事についても尊敬の念を忘れずに貢献できたことを誇りに思っています。
公開日:2015.01.03
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